神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「ひっ、ひえええ!」
雲で覆われていると思っていた夜空にあったのは、巨大な蛇の、白いお腹だった。
オロチのお腹だ!
「四郎!」
雷牙が、神社のお賽銭箱の前にいた四郎くんを見つけた。
彼はずぶ濡れで、杖を両手で持っている。
杖は天まで伸び、金色の光を放っていた。
まるで槍のように、先がオロチのお腹に刺さっているように見える。
「降りてこい、オロチ!」
彼が叫ぶと、空が悲鳴を上げているようにごうごうとうなる。
あたしたちが慌てて彼に駆け寄ると、それは空からゆっくりと降りてきて、その姿を現した。
青黒く光る鱗に覆われた、8つの頭と8つの尾を持つ、巨大な蛇……。
感情の読み取れない灰色の瞳の中の瞳孔が、細く縦に光っていた。
あまりに大きすぎて、どこから頭でどこが胴なのか、さっぱりわからない。
これが、ヤマタノオロチ……。
怖い、怖すぎるよ~!!
失神しそうになったあたしを、四郎くんが抱きとめた。