神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
二人が起こした光と風がやんだあとに見えたのは……。
まったく傷ついていない、オロチの姿だった。
「な……っ」
二人は言葉を失う。
『この力……スサノオの子孫か。
忌々しい子供たちよ』
かすれたような恐ろしい声は、直接頭に響く。
『まさかまたお前に邪魔されるとは』
16のオロチの目が、いっせいに四郎くんをにらむ。
「人間を苦しめるのが最も好きなお前が、直接食事に来るとはな。
我が負わせた傷が、癒えきっておらんか」
『愚かな。
お前が負わせた傷など、とうに癒えておるわ。
ただ、この未来の世界の人間たちに、わしの存在を知らせてやろうと思ったのだ』
オロチの裂けた口の中から、しゅうしゅうと不吉な音がする。
「これだけの人間を一度に死に追いやれば、たしかにこの世界は大騒ぎだろうな」
四郎くんは負けずに、オロチをにらみつける。
けれどオロチは、一つの首を動かし、あたしの方を見た。
怖くて、背筋が震える。
『わしをこの世界に招いたのは、お前だな。
わしの残した血の気配を浄化したのも』
「…ぅ、あ……」
『あと少しで、この男を始末し、多くの人間が息絶える瞬間を見られたものを……
よくも、邪魔をしてくれた』