神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「で、お前はこれからここでどうするつもりなんだ。
おとなしくしているつもりはないのか?」
四郎くんが聞くと、オロチは体を揺らして笑う。
『わしは、わしのしたいようにするだけよ。
なに、この世界を滅ぼそうなどという気はない。
人間を滅ぼしたら、わしの楽しみがなくなってしまうからな』
ぞくりと、全身に震えが走る。
目の前の妖怪は、本気で人間を苦しめることにのみ、価値を見出している……。
「また人間たちを、少しずつ苦しめるつもりか。
真綿で首をしめられるように死んでいった、天草や島原の民たちのように」
四郎くんの低い声に、怒りが混じった。
飢饉や重い年貢で食べるのもやっとだった、当時の人たち。
自由に自分の信じるものを信じることすら許されなかった彼ら。
その苦しみを間近で見てきた四郎くん。
きっと彼は、オロチを放っておくことはできない。
たとえ、どんなに危険な戦いでも……避けることを、望んでいないんだ。