神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
『たしかに、あの痩せた土地に飢饉を起こしたのはわしだが……その結果産んだ不幸は、お前たち自身の手によって作られたものではないか』
オロチが反論する。
灰色の瞳が、わずかに細められたような気がした。
『食べていくのがやっとなのに、何も考えずに子を増やし、口減らしのために殺し……。
キリシタンに立ち返っていくなか、異教の寺院を焼き、僧を殺した。
異教徒をムリに改宗させようとせまり、拷問にかけた』
「それは……」
『わしはただ、人間が飢えてのたうちまわるさまを見られればそれで良かったのだ。
なのにお前たちは、勝手に罪を重ねた。
人の手で、人を殺し続けた』
しん、とその場が静まり返る。
オロチの言葉を完全に理解しているのは、ここでは多分四郎くんだけ。
あたしや雷牙、風牙くんは、その言葉の重さを受け入れきれないでいた。
飢饉でつらかったからといって、自分の子供を殺すとか。
自分たちの信じるものを押し通すために、異教の人たちを苦しめるとか。
想像すらしづらい事実をいきなりつきつけられ、何も言えなくなる。