神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「この者の体がどうなってもいいのか?」
そうか、あの体を傷つければ、槙原くんが……!
けれど四郎くんは杖を霧に押し付けたまま、獣のようにうなる。
「知るものか!どうにでもなってしまえ!」
オロチの顔色が変わる。
「どうせ我は……もうすでに、多くの人間を死に追いやっているんだ。
今更ひとり増えたところで、変わらん」
四郎くんは怒りに燃えた目で、オロチをにらみつける。
「四郎くん……ダメ……!」
それじゃ、槙原くんの意志は完全無視じゃない。
彼はきっと、死にたくなんかないんだ。
殺したりしちゃいけない。
それに四郎くんも……。
「後悔してるなら、同じことしちゃダメだよっ!」
一緒に戦ったキリシタンたちも。
敵となった、幕府軍も。
きっと、本当は死にたくなんてなかった。
そして優しいあなたは……そんなこと、きっと望んでいなかった。