神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
ハッとした。
また悪夢にとらわれそうになったあたしの手を、四郎くんがそっと握ったから。
「……余計なことを考えるな。
大丈夫だから」
暗くて、四郎くんがどんな顔をしているのかよく見えないけれど。
きっと、微笑んでいてくれるのだと思うと、なぜだか泣けてきた。
「どうしちゃったの、四郎くん」
「ん?」
「優しすぎるよ……」
手を握り返す。
いつも俺様で、命令口調で、あたしの意志を無視して、ふりまわして……。
そんな四郎くんが優しいと、逆に怖くなる。
嬉しいのに、怖くなる。
「四郎くん」
「どうした?」
「ぎゅってして……」
あなたが優しいと、怖い。
すぐに消えてしまう、儚い幻になってしまったみたいで。
四郎くんの存在を求めて、体を起こそうとする。
「お前は……」
四郎くんはため息をつき、あたしが起きる前に、そっとベッドへもぐりこんできた。