神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
ドキドキするけど、イヤじゃない。
まるでこの宇宙に、あたしと四郎くんしかいないような錯覚に陥りそう。
彼の体温が心地良くて、だんだんと安心してくる。
「……眠れるように、昔話でもしてやろうか」
低くて甘い声が、耳をくすぐる。
もっと、その声を聞いていたい。
「うん。聞かせて」
回された腕をキュッと抱きしめると、ひとつ息をついて、四郎くんは話しはじめた。
「昔々、天草の地にそれはそれは賢く、そして美しい少年がいました」
「ぶっ……自分で言ってる!」
さすが四郎くん。
あたしが笑うと、四郎くんも喉を鳴らすように、少し笑った。
「少年はある日突然、百姓一揆の総大将になってしまいました。
大人たちに、利用されてしまったのです」
「…………」
これは……四郎くんの……四郎くん自身の物語?