神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「敗北をさとり、逃げ出した者もたくさんいた。

しかし残りの者は、どうしても転ぶことができずに、殉教することを選んだ」


転ぶ、というのは棄教するということ。


普通の百姓一揆ならば、幕府も全滅させることはないという。


百姓が減れば、そのぶん米を作り、年貢を納める人間が減ってしまう。


そうなると、困るのは領主であり、幕府だからだ。


幕府は、『投降して棄教すれば、命は助けてやる』と申し出てきた。


しかし農民たちは、その条件を飲むことはなかった。


「バカげた話だ……彼らは、神の教えを守ったまま死ねば、楽園(パライゾ)に行けると本気で信じていたんだ」


最初の原因を作ったのは、オロチ。


しかし、3万7千人の人間が死を恐れずに、自らの命を放り投げるような決断をしたのは……。


「我のせいだ」


ぎゅ、とあたしを抱きしめる腕に、力が込められた。


「我が調子に乗ったばかりに、キリシタンたちはますます神を信じるようになってしまった。

そして、殉教を選んでしまったんだ」


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