神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
四郎くんの低い声が、震えているようだった。
すがるような彼の髪が、首筋にかかる。
「そんな……調子に乗っただなんて。
四郎くんはただ、キリシタンの精神的な支えになろうと、がんばっただけじゃない」
お祭りの夜、オロチに責められたときは『関係ない』だなんて言ってた。
だけど、そんなことなかったんだね。
あたしには想像もできないほど重いものを背負って……あなたは、生きてきたんだね。
どんなに苦しくても、神様なんか、頼らずに。
「きっとみんな、四郎くんのこと恨んだりしてない。
彼らは彼らの信じるもののために命をかけたんだから……」
誰も、本当は死にたくなんかなかったのかもしれないけど。
それは決して、四郎くんのせいじゃない。
そんなの、ただのオロチのこじつけだ。
「……そうだな。
我は悪くないよな」
「そうだよ」
「堂々としていれば、いいんだよな」
「うん」
「……だけどそれの、なんと難しいことか」
四郎くんの喉から、自嘲するような息の音が聞こえた。