神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
ああ……。
背中から、体中から、四郎くんの悲しみが伝わってくるみたい。
いつも笑っちゃうくらい俺様だったのは、ただの虚勢だったのかな。
3万7千人のキリシタンの上に立つなんて役目を負っていたから。
自分を偉大に見せようと、がんばっていたんだね。
四郎くんが怖がっていたら、みんなが恐れを感じてしまうから。
何も怖くないように、見せかけていたんだね。
「つらかったね」
認めていいんだよ。
つらかった。怖かった。苦しかった。
本当は、自分だって弱いんだって。
「つらかったね……」
なぜか、声が震えた。
空の星たちがぼやけて、光がにじむ。
「……少しだけな」
彼はそんな強がりを言った。
そしてまるで甘えるように、あたしの首に頬を寄せる。
「燃えていく原城の中で、自分の人生のなんと無意味なことかと思った。
だけど……」
四郎くんは腕を離し、あたしの肩を抱く。
抱え込まれるようにして、彼と目があった。