神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


オーロラが、オロチの気にまとわりつく。


昨日とおんなじ。


絵の具みたいにオロチの気を溶かしだして、瓦礫の上に渦の模様を作る。


「ふわあ……っ」


早く、早く消えちゃえ!


そうじゃないと、体がもたない。


あたしの中から、生きるための力が全部抜けていっちゃいそう。


ひざから力が抜け、瓦礫の上に転ぶかと思った瞬間。


背後から、ふわりと体を抱きかかえられる。


「大丈夫、まだ制御しきれていないだけだ」


低くて甘い声が耳元で響く。


「四郎くん……?」


「我が力を貸す。
落ち着いて、集中しろ」


四郎くんはあたしを支えたまま、その長い指をあたしの指に絡ませる。


たったそれだけで、体の中に新たな力が流れ込んできた。


あたしは既に放出した分の気に集中する。


消えろ、消えろ。


オーロラ色の絵の具が、悪い気を溶かして、やがて無の白へと変わる。


その様子を必死にイメージすると、目の前でも同じことが起こった。




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