イジワルなキミの隣で


私のいるフロアはまだお客さんもまばら。


だから私に言ったのだろう。



私が行くしかない……。



早くしないとバターが溶けちゃう。



それはわかってる。



ホットケーキを手にしてゆっくり歩き出す。


周りは結構賑やかだったけど、ドキドキと不安と緊張が入り混じった心臓の音がうるさいくらい聞こえる。



どうしよう……。

ううん、どうもしなくていい。

ただこれを持ってくだけじゃん。

“お待たせしました”って言って

すぐに引き返してくればいいだけの話。

何も気にすることないじゃん。



スーッと大きく息を吸い込んで深呼吸する。


落ち着け、私。


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