シェアハウスのミュージシャン
by沙織
「うっ……ヒック…」
菜奈華「…沙〜織。」
「…ヒック…菜奈…華…」
菜奈華「あれぇ〜?ひろは?」
「…ははっ。見てたの。」
菜奈華「一部始終ね……そんなとこ…ずっと居てたら、見回りの人来るよ?」
「…うっ…」
菜奈華「じゃね。また明日。」
菜奈華「ひろぉ〜。」
「…ふっへ…」
私はゆっくり立ち上がった…
菜奈華の綺麗な後ろ姿がとうざかって行く。
まだ、足は震えている…
パンパンっとスカートを払うと、スクールバックを持ってトイレに行った。
トイレには掃除されたピカピカな鏡の前に立った…
「ふっ…酷い顔…」
私はぐちゃぐちゃな顔を水で洗い。
リップを塗り直した。
部活生の帰る声が聞こえてくる。
靴箱にいくと、靴箱には、私だけ上靴が置いてなかった。
皆、帰ってるよね…
?「あ!七!!」
私の中学時代、男子バスケ部に呼ばれていたあだ名だった。
反射的に振り向くと、
奥川「やっぱり、七だ!」
「奥川じゃん。」
一つ下の、男子バスケ部の奥川。
そういえば、下の名前、知らないかも…
良く私につかかってくる子だ。
基本的敬語だけどたまにタメ口…
奥川「何しての?」
「ちょっとね。部活は?」
奥川「終わった。てか俺、ひろ先輩が引退した後、キャプテンなんですよ!」
「うそぉー!奥川がキャプテン!!大丈夫なの?」
奥川「いけてますよ!」
奥川とは帰る方面が同じだった。
奥川「なんか、あったんですか?」
「へっ?」
奥川「さっき、下足で泣いてたの見た…から」
「へへっ。見られてた?ちょっといろいろあってさ。」
奥川「ひろ先輩?」
「うーん。感鋭いね!!」
奥川「やっぱり…」
「でもさ。もう大丈夫だよ!」
奥川「…」
「そーいや。奥川って体育委員だったよね?」
奥川「おう。」
「何組⁇」
奥川「2組。」
「2組って事は…確か…」
私はポッケに入れていた、体育委員用のノートを取り出した。
「青団?」
奥川「うん、七は?」
「2組の緑団!!」
奥川「え?2組なん?」
「そうっすよ。」
奥川「七走りだけは早かったからな。」
「だけってひどいな。」
奥川「リレー出るんすか?」
「当たり前。」
奥川「俺も。」
「え?奥川早い?走り?」
奥川「これでも、バスケ部の中では、ひろ先輩と同じくらいですよ。」
「早いじゃん。」
奥川「じゃ、俺ここなんで。」
「うん。なんか、ありがとね。」
奥川「いや。」
そういって、マンションの中に姿を消した。
「んっー。何か、誰かと話したら気分いいな。」
プルプル
誰だろ?
早苗?光?…ひろ?
何て思い、ケータイのディスプレイを見ると
菜奈華…
プッ。
「はい。」
「あ!沙織!あのさー今日沙織寝てたからしかないけど、明日は席移動しといてね。」
「あ…うん。朝行ったら、席移動しとくね。」
「うん。よろしくねー。じゃ!」
プッープッープッー