腕枕で朝寝坊



「そんなワケありません。美織さんのは特別なんですから」


うう。紗和己さんの優しさがツラい。

ゴメン、紗和己さん。

私ってば思ってた以上に、イジケ虫でヤキモチ妬きで独占欲メラメラみたい。


世界中に叫びたいよー。『紗和己さんは私のです!』って。

紗和己さんの背中に『鈴原美織』っておっきく名前書いておきたいよー。



すっかりイジケ全開になってしまった私を、紗和己さんが眉尻を下げながら気遣ってくれる。


「美織さん、もしかしてバレンタインチョコの材料買いにいった帰りですか?だったら嬉しいな、期待しちゃいます」


私の手元の材料の入った袋を見て紗和己さんは言うけれど。


これから作るブラウニー。そのチョコ達より美味しいのかな。なんて。

ああ、可愛くない。つまらないコトを考えてしまう。



「…こんなにチョコばっかじゃ飽きちゃうね。違うものにすれば良かった」


「美織さんのは一番に食べます。だから飽きません。それにさっきも言ったけど美織さんのは特別です」


「特別って言ったってどうせ同じチョコなのに。お腹に入ったら一緒だよ」



こんなことならチョコじゃなくお煎餅でも贈った方がまだマシかも。

埋もれちゃう。私のチョコなんか。



イジケ過ぎてちょっと涙目になってきた私に、紗和己さんは空いてる方の手で突然ポフポフと頭を撫でてきた。



「じゃあもっと特別にしましょう。明日くれるチョコレート、リクエストしていいですか?」


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