腕枕で朝寝坊
1ヶ月後。
「美織さん、最近ちょっと痩せました?」
「ちょっとね。最近スポーツクラブに通い始めたんです」
「そうなんですか。僕も近くのスポーツクラブに登録してるんですよ。あ、同じ系列のクラブですね。今度いっしょに行きましょうか?」
「えっ」
「僕、結構プール使うんですよ。よかったら今度いっしょに泳ぎましょう」
「えっっ」
斯くして。
私は一夜を共にして素肌を見せる前に、まだシェイプアップ途中のヒップラインを水着越しに晒すコトとなった。
スポーツ用水着って、どうしてこんなにボディラインがハッキリ出ちゃうのー!?
「あ、ああああまり見ないで紗和己さん。私のヒップライン、ハードル低いから…」
全力で恥ずかしがる私に紗和己さんは
「スポーツ用とは言えちょっと照れますね。美織さんの水着姿初めて見たから…って、僕不純ですね」
どこか斜めの返答をした。
「泳ぎましょう、美織さん!」
そう言って視線を逸らした紗和己さんは、赤くなった顔を隠すように背を向けプールへと歩いて行った。
そこで私はハッと気付く。
…うわ、紗和己さんスタイルすごい!無駄な肉、ぜんっぜん無い!
初めて見る彼のセミヌードに心の声が感嘆を上げる。
しかも。
美尻!紗和己さんも美尻!!
どこに注目してるんだ私。
と思いつつも腰から太ももにかけての男らしく引き締まったラインに目が離せない。
「…紗和己さん、私、泳いできます。25メートル4本」
「えっ、いきなり随分とハードですね」
「彼氏にヒップラインで負けるの悔しいんで。今日から私は自分に厳しく生きます」
「な、なんの話です??」
パチパチと目をしばたかせている紗和己さんを置いて、私は25メートルコースを颯爽と泳ぎだした。
そうして
この日から鬼のシェイプアップに励んだ私は理想のヒップラインを手にいれる。
けど、目的が当初の“紗和己さんを喜ばせる”から“紗和己さんを越える”になってしまった私には、果たしてこれが成功なのか失敗なのか。
なんだかよく分からないのであった。