腕枕で朝寝坊
※うちの狼
~うちの狼~
※美織視点
※新婚編
※ちょっとアブノーマル(?)エッチ注意
紗和己さんのビジュアルはとってもサラッとしている。
高い身長や広い肩幅とかは男らしいと思うけど。
髪も肌も綺麗だし、ヒゲだってスネ毛だってあんまり濃くない。何て言うか“男臭くない”感じ。
紗和己さんて女性ホルモン多いんじゃないかな。お豆腐好きだし。
……って言うのはあくまで外見の話。
見た目はサラッとして淡白そうなのに。雄々しいタイプじゃないのに。
「……紗和己さんのエッチぃ……」
「知ってます。分かってます」
ふたりきりの時の彼はとんでもなく男性ホルモン全開だ。
特にお休みの前の夜なんかもう。フルコース…いや、満漢全席だこれはもう。
「……ひゃ……、や……そこ、変な気分……」
「……ここですか?……ふふ、じゃあもっとキスしてあげますね」
ポップカラーのペディキュアを塗った足の指先。まるでカラフルなキャンディを味わうみたいに、紗和己さんが唇を這わす。
お風呂上がりの私は、フリルいっぱいのベビードールを着たままベッドに座らされていて。
まだリボンのひとつもほどかれていないのに、足先に降ってくるキスのせいで、身体が甘く溶け始めちゃって。
「あ…!!…や、ぁ……なんか、変……」
くすぐったさを通り越して、足の先っぽに与えられる刺激は私に新しい快感を呼び覚ます。
……こんな所が気持ちいいなんて。なんか、変な感じ。これが性感帯ってやつかなあ。
自分でも知らなかった自分の身体のこと。いっつも見つけてしまうのは紗和己さん。
「美織さんはここにキスされるのが好きなんですね。じゃあ今夜はずっと可愛がってあげますよ」
紗和己さんがとびきり嬉しそうな顔をして言う。
まだ夜は始まったばかりで。
まだキスは足の先っぽにしかされてなくて。
なのに私の身体と心はもうトロトロのフニャフニャで。
ああ、夜が明ける頃には私どうなってしまうんだろう。
今夜も紗和己さんは私を味わい尽くす。美味しく美味しくペロリと食べ尽くす。
まるで果てを知らない欲望を抱えてるみたいに、長い夜を余すことなく楽しみ尽くす。
私の知らない私を開き、触覚を呼び起こしていく彼はなんて罪深いんだろう。
「……私、紗和己さんのキスなら身体中どこでも感じるようになっちゃいそう……」
「最高ですね。絶対そうしてみせますよ」
気の長い肉食獣はおそろしい。そんじょそこらの男よりずっとずっと欲深い。
サラリとした綺麗な顔にたっぷりの雄々しさを乗せて微笑む紗和己さんは、世界一エッチな男だ。
「……えっち。紗和己さんのえっち。」
「そうさせてるのは貴女のくせに」
静かに微笑んでに返す彼の瞳には、猛る情熱の火が灯っている。
夜はまだ、始まったばかり。
~うちの狼・完~