璃琥―riko―
それに、うーちゃん……純粋ってさぁ
私はもう“純粋“じゃない。
私が純粋だって間違ってるよ。
……ああ、まただ。

まだ抜け出せない。

深い闇がまた引きずりだされる。

闇に囚われそうになる。

闇に引きずられそうになる。

堕ちていきそうになる。

また“まいご“になってしまう。



「……ぃ……い……あい!!」

はっと我に変える。さっきまでの恐ろしいふいんきはなくなり、雨來も夜來も心配そうな顔をして愛の顔を覗きこんでいた。

「ごめんな……まだアレなのに……」

「雨來は悪くないよ」

凄く悲しそうに悔しそうに謝る雨來に少し不安定な声で言う愛。
そう、雨來は悪くない。絶対に……
今でも“あのこと“を悔やんでいるのは気付いている。
夜來もおかあさんもみんな“あのこと“を心の奥に抱えているのだって分かる。
みんなは悪くない。
そう言ったってみんな聞いてくれないのは百も承知だ。だから言えない。
いや、心のどこかで私だけじゃなくて、みんなで抱えてこんで欲しいと願っているのだろう。
私は強くならなきゃいけないのに……

ぽんぽん…

頭を夜來に撫でられたと思えばぐしゃぐしゃに撫で回された。それも、思いっきり………
痛い痛い痛い!!!

「痛いわ!アホ夜來!!」

なんて怒るとさらに強く頭を撫でてきやがったバカアホ夜來。
うーちゃんもうーちゃんで笑っている。
ほんとに、辞めて欲しいわ…
でも……ありがとう。
私が“かんがえた“からわざとしてくれたんだろう。あおかあさんの大切な人たちは不器用な人が多いからね。
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