天使の涙
―バンッ
「ムカつく。ムカつく。ムカつく………っ。何が¨ふ~ん…あっそ。じゃあ、お前、腐ってんだな¨よ!!馬鹿馬鹿馬鹿、最っっ低!!!」
怒鳴り声を聞き付けて、畑山先生が事務室から出て来た。そして私の般若のような顔を見るなり、
「凜?今のデカい声、お前だったんか」
信じられないと言った様子で目をパチクリさせている。私は依然不機嫌モードで、履いていた靴を玄関先に乱暴に脱ぎ捨てた。
「珍しいこともあるっちゃねぇ、凜がそんな露骨に感情を表に出すトコ初めて見たわ」
「………」
それは自分でもビックリしたけど、あんな事を言われて怒らずにはいられなかった。
久し振りに感じた¨怒¨の感情。
「………胸糞悪いから、寝ます」
私は畑山先生の隣を足速に擦り抜けると、階段を上って自室に入った。
ベッドに身を投げ出し、瞼を閉じる。他の事を考えようとすればする程、さっきの男の子の言葉が頭の中で何度も繰り返された。
「胸糞悪い……最悪」
それが、彼の第一印象だった。
・つづく・