天使の涙

「……すごい綺麗」


季節は夏真っ盛りの七月。天の川や夏の大三角形が眩しいばかりの光を放っている。


施設の建物の裏に回り込んで、草木を掻き分けて少し先を行くと小さな池がある。そこはこの間見つけた私のお気に入りの場所で、こんな星の綺麗な夜はそこに寝転んで空を見上げるんだ。


「到着~~っ」


こうして空を眺めていると、何でか不思議と心が穏やかになる。何も考えなくていいし


「いいなぁ…あなたたちは綺麗で……」


ねぇ、空(ソコ)から私はどんな風に見えていますか?どんな風に映って見えますか?


なんてね。どうせこんなちっぽけな私があんな高い場所から見える訳ないか…


「あ、流れ星」


「あ、流れ星」


…――――え?


突然、頭の上から聞こえた声。勢い良く起き上がって声がした方に視線を向けると、そこには私と同じ年くらいの男の子が立っていた。


サラサラと流れる様な漆黒の髪、切れ長の瞳。中性的で綺麗な顔立ちに、私は思わず見とれてしまった。


「貴方、誰?」



・つづく・
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