始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~
それから同僚と雑談をした後に自分のデスクで何となくボーッとしていると、「お疲れ様です」と私の耳に彼の声が入ってきた。

それに反応して私の目は彼の姿を捜す。

まだフロアに残っている人達がそれぞれ「お疲れ様です」と返すなか、スタスタ歩いてくるその姿は

一日働いたというのに疲れをまとっていない。



「今井さん、お疲れ様です」



「お疲れ様」



「待たせてすいませんでした」



「そんなに待ってないよ。明日の準備もしていたし」



笑顔を見せてくる彼に『待っていた』なんて可愛い答えを持ち合わせていない私は、今まで手を進めていなかった資料整理を今更ながら始めてしまう。

本当は彼の戻りを待っていたのに。

何でだろうな・・って胸の中でため息をついてしまう。

それから20分程お互いに残務処理をして帰り支度をすると、「じゃあ行きましょうか」と彼が声をかけてきた。

そして一緒に営業部のフロアを出て廊下を歩いていると、すぐに女子社員2人が笑顔で寄って来た。



「お疲れ様で~す」



いつもながらの女子力高めの可愛らしい声・笑顔・眼差しだ。

私には見せることのできない技。

男の人にとってはこういう子が可愛いよね。

そう感じるはずと決めつけている私は、彼の顔を見ることができない。

隣からは「お疲れ様です」と落ち着いた声が聞こえる。

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