ラストバージン
「看護師になった今は大した病気じゃなかったってわかるんですけど、その頃はすごく不安で……。父もいたし、父方の祖母が家に来てくれたから家事の心配とかはなかったんですけど、皆は五歳下の弟ばかり気に掛けていて……」
タイミング悪く料理を運びに来た店員に気を取られながらも、矢田さんはきちんと話すつもりでいてくれたらしく、店員が去った直後には再び口を開いた。
「私は不安な気持ちを誰にも話せなくて、お見舞いに行く度に涙を堪えながら帰って来ていたんです。そしたらある時、母がお世話になっていた看護師さんが声を掛けてくれて……」
彼女の顔に明るさが浮かび、戸惑いが和らいだのがわかった。
「『毎日お見舞いに来て偉いね』、『頑張ってるね』って。『お姉ちゃんだから色々我慢してるんじゃない?』って言ってくれたんです」
瞳を緩めた矢田さんにこんな表情も出来るのかと驚き、だけどそれを顔に出さないように努めた。
「たったそれだけの事だったんですけど、本当に嬉しくて……。その時、糸がプツンと切れたみたいに泣き出した私を優しく励ましてくれた看護師さんに憧れて、看護師になりたいって思ったんです」
一部始終を語り終えた表情は明るく、清々しい程の笑みを浮かべていた。
タイミング悪く料理を運びに来た店員に気を取られながらも、矢田さんはきちんと話すつもりでいてくれたらしく、店員が去った直後には再び口を開いた。
「私は不安な気持ちを誰にも話せなくて、お見舞いに行く度に涙を堪えながら帰って来ていたんです。そしたらある時、母がお世話になっていた看護師さんが声を掛けてくれて……」
彼女の顔に明るさが浮かび、戸惑いが和らいだのがわかった。
「『毎日お見舞いに来て偉いね』、『頑張ってるね』って。『お姉ちゃんだから色々我慢してるんじゃない?』って言ってくれたんです」
瞳を緩めた矢田さんにこんな表情も出来るのかと驚き、だけどそれを顔に出さないように努めた。
「たったそれだけの事だったんですけど、本当に嬉しくて……。その時、糸がプツンと切れたみたいに泣き出した私を優しく励ましてくれた看護師さんに憧れて、看護師になりたいって思ったんです」
一部始終を語り終えた表情は明るく、清々しい程の笑みを浮かべていた。