ラストバージン
「看護記録に関しては引き続き私がチェックするけど、最近は前よりも少しだけミスが減って来たと思う」

「……本当ですか?」

「うん。もちろんまだまだ注意すべきところはたくさんあるけど、最初の頃と比べたらほんの少しだけど成長してるよ」

「え……?」


キョトンとした矢田さんが、縋るような顔付きになった。


「私も……成長していますか……?」


きっと、同期である他の三人と比べているのだろう。


彼女達と比べれば、確かに出遅れてしまってはいるけれど……。

「うん、ちゃんと成長しているところもあるよ。矢田さんの努力次第で、すぐに同期の皆に追い付けると思う」

今の矢田さんを見て素直に感じた事を告げれば、彼女の瞳にみるみるうちに涙が溢れ出した。


「だから、頑張って。憧れの人に近付きたいのなら、こんなところでくじけちゃダメだよ」


笑顔を見せると、矢田さんの瞳から雫が零れ落ちた。
きっと、私が思っているよりもずっと彼女は努力をしていて、いっぱいいっぱいだったのだろう。


それに気付けなかったのは、私の過失。
だからこそ、大きく頷いた矢田さんの事はもちろん、他の新人達の事ももっとしっかりと見ようと強く思った――。

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