ラストバージン
「男なのに、とか思う?」

「全然。私も動物は好きだし、ずっと犬を飼いたいと思っているんだけど、不規則な仕事だから諦めてるんだ。だから、動物園も植物園もすごく嬉しかったし、水族館も楽しみ。この歳になると、女同士でもそういうところに行く機会なんてないし」

「そうなんだ。でも、女性同士なら気兼ねなく行けるんじゃないの?」

「気兼ねはしないけど、私にも友達にもそもそもそういうところに行こうっていう発想がないんだよ。ランチとかショッピングとか、後は飲みに行くとか、わりとワンパターンだし」


興味深そうに相槌を打っていた榛名さんが、嬉しそうにフワリと微笑む。


「じゃあ、誘って良かった」

「誘われて良かったです」


冗談めかして返せば、クスクスと笑われた。


「因みに、僕も犬派だよ」

「え?」

「ペットを飼うならね」

「そうなんだ。私はね、豆柴がいいんだ」

「あ、同じ」

「嘘?」

「本当。僕らって、本当に気が合うね。意見がくっきり別れたのは、今のところラーメンだけだし」


不思議そうな顔で私を見た榛名さんに、それは味噌派の私のせいじゃなくて『激辛派』なんて答えた変わり者のせいだ、と心の中で呟いた。

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