ラストバージン
酒井さんの様子に気付いた時の事はともかく、矢田さんの事は榛名さんがアドバイスをしてくれたおかげ。
彼の言葉がなかったら、きっとこんな風にはなっていなかったと思う。
あの頃の私では、矢田さんの良さを引き出してあげる事は疎か、彼女の素直な笑顔を見る事すら出来なかっただろう。
だって、私は矢田さんの事をちゃんと見れていなかったんじゃなくて、彼女と本気で向き合おうとしていなかったのだから……。
こうして考えてみると、榛名さんと親しくなってからまだ数ヶ月程なのに、その間の私の生活の中には彼が影響している事がたくさんあって……。その一つ一つが大切で、かけがえのないものだと思える。
それでも、ようやく決まり掛けた答えは決して明るいものなんかじゃなくて、困惑の表情を浮かべる榛名さんの姿が脳裏を過ぎった。
同時に、胸の奥がチクチクと痛み出す。
「主任」
「え?」
「外科から内線です」
ついボーッとしていた私は、内線のコール音にすら気付かなかったなんて悟られないように、平然を装って受話器を受け取った。
だけど、胸の奥を刺すような痛みは、まるで私を責め立てるかのようにいつまで経っても消えてはくれなかった――。
彼の言葉がなかったら、きっとこんな風にはなっていなかったと思う。
あの頃の私では、矢田さんの良さを引き出してあげる事は疎か、彼女の素直な笑顔を見る事すら出来なかっただろう。
だって、私は矢田さんの事をちゃんと見れていなかったんじゃなくて、彼女と本気で向き合おうとしていなかったのだから……。
こうして考えてみると、榛名さんと親しくなってからまだ数ヶ月程なのに、その間の私の生活の中には彼が影響している事がたくさんあって……。その一つ一つが大切で、かけがえのないものだと思える。
それでも、ようやく決まり掛けた答えは決して明るいものなんかじゃなくて、困惑の表情を浮かべる榛名さんの姿が脳裏を過ぎった。
同時に、胸の奥がチクチクと痛み出す。
「主任」
「え?」
「外科から内線です」
ついボーッとしていた私は、内線のコール音にすら気付かなかったなんて悟られないように、平然を装って受話器を受け取った。
だけど、胸の奥を刺すような痛みは、まるで私を責め立てるかのようにいつまで経っても消えてはくれなかった――。