ラストバージン
「これ、ささやかだけど快気祝い。こっちは豆乳プリンね」


そう言いながら白い紙袋から取り出したのは、両手サイズ程の籠にあしらわれた向日葵がメインのアレンジフラワー。


「嘘!? すっごく綺麗! ありがとう! 豆乳プリンも嬉しい」


予想以上に喜んでくれた恭子に釣られ、笑みが零れる。


「よかったら抱っこしてあげて」

「うん」


恭平君を抱き上げた恭子からそっと受け取ると、小さな命の重さに笑みが込み上げて来た。


「母子共に元気そうで何よりだよ」

「産後はどうなる事かと思ったけど、何とか回復しました」

「『出血が止まらなかった』ってメッセージを読んだ時は驚いたけど、元気な子が生まれて、恭子も無事で良かった」

「ごめんね、心配掛けて」

「私の方こそ、メッセージを見たのが遅かったから何の役にも立てなくて」

「ううん、仕事中だってわかってて連絡したんだもん。それに、その前に『破水した』って送った後に葵がくれたメッセージが、すごく励みになったよ。陣痛でつらかった時に、葵の言葉を思い出して乗り切れた。本当にありがとう」


きっと大した励みにはならなかっただろうけれど、アレンジフラワーを手にした恭子の言葉に自然と笑みが零れた。

< 202 / 318 >

この作品をシェア

pagetop