ラストバージン
「出産した時も、私にお花をくれたよね。出産祝いはたくさん貰ったけど、私にまでプレゼントをくれたのは葵だけだったんだ」

「そうなの?」

「うん。だから、余計に嬉しかった。葵のこういう気遣いって、本当にすごいと思う」

「そんな事ないよ。私がプレゼントしたかっただけだから」


「ありがとう」と笑った恭子に、笑顔で首を横に振る。


「それより、夜勤で疲れてるのに、来てくれてありがとう」

「ううん。二人の顔を見たかったから」

「嬉しい。実は、お昼ご飯作っておいたんだ。葵が来てくれるって言うから、張り切ったんだよ」

「え、そうなの? ごめんね、気を遣わせちゃって」

「あぁ、違う違う。私が葵とゆっくり話したかったから、引き止める口実に作っただけ」


恭子は右手をパタパタと振り、ニッコリと微笑んだ。


「夜勤明けだと、ロクな物食べてないでしょ? ちょっと早いけど、お昼にしない?」

「嬉しい、お腹ペコペコなんだ」

「やっぱり。葵が持って来てくれた豆乳プリンは、デザートにしようよ」


恭子は、【L'Etoile Unique(レトワール・ユニック)】とロゴの入った箱を冷蔵庫に入れると、テーブルに冷製パスタとサラダを並べた。

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