ラストバージン
頭の中が、真っ白になった。
バラバラだったピースが嵌まってパズルは綺麗に完成したけれど、罵声を紡ぎ続けているであろう女性の言葉なんて全く聞こえて来ない。
日高義成という名前に心当たりは一人しかいなくて、この状況で同姓同名の人違いだと考えるのには無理がある。
騒ぎに気付いた子ども達が集まり、スタッフ達が慌てて病室に戻るように告げているのがどこか遠くの方から聞こえて来て……。
「私達には、まだ一歳になったばかりの子どもがいるのよ!」
女性の声が再び耳に入って来た時には、彼女は師長と先輩に引きずられるようにしてナースステーションの奥へと入って行くところだった。
「結木さん、あなた……」
スタッフが遠目に私を見つめる中、女性を止めに入ってくれた先輩が私の元に戻って来た。
「……もしかして、日高先生が結婚してる事知らなかったの?」
眉を小さく寄せながら当たり前のように口した先輩に、日高先生が既婚者だった事は周知の事実だったのかもしれないと目を見開き、否定も肯定も出来なかった。
「結木さん、師長が今日はもう帰りなさいって。ほら、子ども達が動揺するといけないから」
先輩は小声で告げ、立ち尽くす私を更衣室まで引っ張って行った。
バラバラだったピースが嵌まってパズルは綺麗に完成したけれど、罵声を紡ぎ続けているであろう女性の言葉なんて全く聞こえて来ない。
日高義成という名前に心当たりは一人しかいなくて、この状況で同姓同名の人違いだと考えるのには無理がある。
騒ぎに気付いた子ども達が集まり、スタッフ達が慌てて病室に戻るように告げているのがどこか遠くの方から聞こえて来て……。
「私達には、まだ一歳になったばかりの子どもがいるのよ!」
女性の声が再び耳に入って来た時には、彼女は師長と先輩に引きずられるようにしてナースステーションの奥へと入って行くところだった。
「結木さん、あなた……」
スタッフが遠目に私を見つめる中、女性を止めに入ってくれた先輩が私の元に戻って来た。
「……もしかして、日高先生が結婚してる事知らなかったの?」
眉を小さく寄せながら当たり前のように口した先輩に、日高先生が既婚者だった事は周知の事実だったのかもしれないと目を見開き、否定も肯定も出来なかった。
「結木さん、師長が今日はもう帰りなさいって。ほら、子ども達が動揺するといけないから」
先輩は小声で告げ、立ち尽くす私を更衣室まで引っ張って行った。