ラストバージン
「飲もうよ」と笑った恭子は、持って来ていた乳白色のビニール袋から芋焼酎を出した。

「……どうして焼酎なの?」


私も彼女も元々あまりお酒は飲まないし、特に焼酎は好まない。


「場合によっては、きっついのをプレゼントしてあげようと思ってさ。ここに来る時に買っておいたんだ」


怪訝な顔をしていると、恭子が悪戯っ子のようにフフッと笑った。


「とりあえず、ロックでいこうね」


私の家にも拘わらずテキパキと準備を始めた恭子は、氷を入れたグラスに芋焼酎を注いでマドラーで混ぜた。


「学生時代によく泊まらせて貰ったから、どこに何があるかすぐにわかるんだよね」


得意気な笑顔を向けられて、ようやくほんの少しだけ笑みが零れた。


「はい」

「ありがと……」


涙混じりの掠れた声を出した私に、恭子がニッコリと笑う。


「じゃあ、グイッとどうぞ」


言われた通りにすれば、予想していたように喉が灼け付くようで軽く噎せてしまったけれど……。恭子は満足そうに笑って、グラスに口を付けた。


決して、美味しいとは思えない。
だけど……こんな時には、強いアルコールを飲んで酔っ払うくらいの方がいいのかもしれない。

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