ラストバージン
相変わらず困惑したままの榛名さんは言葉を失っていて、とっくに私から視線を逸らしてしまっている。
それを悲しく思うのは自然の事だろうけれど、この件に関しては私にそんな感情を抱く資格はない。


それが、私の罪。


「榛名さんといるとホッとするし、本当に楽しいよ。気が合うって思っていたのは私も同じだったし、一緒に過ごして来た時間はかけがえのないものだよ」


暗に込めた私の想いを、榛名さんならきっと気付いたはず。
勝手な解釈を確信にして、交わらない瞳に切なさを抱きながらも小さな笑みを浮かべた。


「榛名さんが告白してくれた事は、本当に嬉しかった。これからもあなたと一緒に過ごせたら、きっと幸せだろうなとも思う。でも……」


そこで瞳を伏せた私から、ごく自然と自嘲混じりの笑みが零れた。


「自分の過去を一番許せないのは、きっと私なんだ……」


一生こんな気持ちを抱えたままでいるのか、今はまだわからない。


「それに……私だったら好きな人が不倫をしていたって知ったら、きっと告白をなかった事にして欲しいと思ってしまうだろうから……」


それでも、今の時点ではまだ後悔と責任を強く感じているし、榛名さんだってこんな私の事は嫌になると思うから……。

< 249 / 318 >

この作品をシェア

pagetop