ラストバージン
一瞬で、地の底に叩き付けられた。
崖から突き落とされたような衝撃は、抉るような痛みとなって心を撃ち抜く。
(ほら、やっぱり……)
面と向かって気持ちを告げられた今、きっともう立ち直れない。
(泣くな……)
泣けるような立場じゃないのだからと言い聞かせ、鼻の奥のツンとした痛みを堪える為に歯噛みする。
「……なんてね」
程なくして静かだった店内に落ちたのは、少しばかり意地悪なニュアンスを含んだ声音。
咄嗟に榛名さんを見上げると、キョトンとしている私を見つめていた彼が破顔した。
「嘘だよ」
「何が……?」
「さっきの言葉」
(さっきの言葉、って……?)
声にならない疑問を瞳で訴える私の気持ちを察するように、眉を小さく寄せた笑みが向けられる。
「軽蔑なんてしていないし、嫌いにもなっていないよ」
柔らかな声が耳に届いた直後、私は目を大きく見開いていた。
「勝手に連絡を絶った結木さんに仕返ししてやろうと思って、ちょっと意地悪してみただけだよ」
それがさっきの肯定の言葉の事だというのは、すぐに理解出来たけれど……。
「どうして……?」
今の私にとって重要なのは、その前に紡がれた言葉の方だ。
崖から突き落とされたような衝撃は、抉るような痛みとなって心を撃ち抜く。
(ほら、やっぱり……)
面と向かって気持ちを告げられた今、きっともう立ち直れない。
(泣くな……)
泣けるような立場じゃないのだからと言い聞かせ、鼻の奥のツンとした痛みを堪える為に歯噛みする。
「……なんてね」
程なくして静かだった店内に落ちたのは、少しばかり意地悪なニュアンスを含んだ声音。
咄嗟に榛名さんを見上げると、キョトンとしている私を見つめていた彼が破顔した。
「嘘だよ」
「何が……?」
「さっきの言葉」
(さっきの言葉、って……?)
声にならない疑問を瞳で訴える私の気持ちを察するように、眉を小さく寄せた笑みが向けられる。
「軽蔑なんてしていないし、嫌いにもなっていないよ」
柔らかな声が耳に届いた直後、私は目を大きく見開いていた。
「勝手に連絡を絶った結木さんに仕返ししてやろうと思って、ちょっと意地悪してみただけだよ」
それがさっきの肯定の言葉の事だというのは、すぐに理解出来たけれど……。
「どうして……?」
今の私にとって重要なのは、その前に紡がれた言葉の方だ。