ラストバージン
* * *
十一月も終わりを迎えようとしている頃、約一ヶ月振りに会った菜摘からの呆れたような視線に居た堪れない気持ちになりながら、コーヒーカップを手に取った。
「……で?」
高田さんとの事を訊かれて一部始終を話した私に、彼女は不満げな表情をしている。
「そういう事だから、もう高田さんと会う事はないよ」
「勿体ない……」
きっぱりと言い切った私に返って来たのは、予想通りの言葉。
「そりゃあ、あの婚活パーティーには私が強引に誘っただけで、葵は乗り気じゃなかったのはわかってるけどさぁ……。でも年齢的にも申し分なくて、弁護士でしょ? あ〜、本当に勿体ない……」
深いため息をついた菜摘は、ぶつぶつと文句を零している。
その気持ちは、決してわからなくはないけれど……。
「仕方ないでしょ。フェードアウト出来る雰囲気じゃなかったし、だからと言ってズルズル引き延ばす訳にもいかないし」
それでも、婚活で出会った以上はそれ相応の態度で接さなければいけない、と思ったのだ。
高田さんだって、別れ際に『出会い方が出会い方ですから、〝お友達としてこれからも……〟というのも難しいでしょうしね』と苦笑していた。