ラストバージン
「結婚したら、プチセレブになれたかもしれないのに……」

「いいよ、そんなの。それより、私の事はいいから菜摘はどうなの?」


未だに不満げな菜摘の気を逸らせたくて笑みを向ければ、彼女は殊勝な表情を見せてから口元を綻ばせた。


「……一応、付き合う事になりました」

「…………えぇっ!?」


小さく紡がれた言葉の意味を理解するまでに数秒を要し、その後で目を大きく見開いてしまった。


「相手は? この間のパーティーでカップルになった人?」

「うん」


ニッコリと頷いた菜摘は、確かにあの日にカップル成立した男性と意気投合していたようだし、電話やメールでそれ以降も彼と会っている事を聞いていたけれど……。

「まだ出会って二ヶ月弱だよね? もしかして、菜摘から告白したの?」

あまりの展開の早さに、どうしても驚きを隠せなかった。


「そうだけど、まぁ婚活で出会ったしね。告白は相手からだよ」

「えっと、澤部(さわべ)さんだっけ?」

「うん」

「菜摘は、澤部さんのどこを好きになったの?」


友達と言えども、私がこんなに質問攻めをする事なんて滅多にないけれど、気心の知れた相手なら話は別だ。

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