黒愛−kuroai−
 


頭の中に、幸せなスケジュールが組み直された。


4月に結婚。

この家に1年暮らし、
来春、妻として柊也先輩の上京に付いて行く。




素敵なスケジュールを、笑顔でペラペラ語った。

テーブル上で繋いでいた手は、パッと離された。



ご機嫌な私と、
なぜか青ざめる先輩。



まだ未来を語り続ける私に、彼は怖々言う。




「あ、あのさ…
愛美には高校を卒業して貰いたいし、それに…結婚はまだ、考えていないからさ……」



「……」



「愛美?聞いてる?」





そんな言葉は、耳に入らない。


頭の中は“結婚”の二文字で一杯。


いそいそと教科書を鞄にしまい、立ち上がる。




「先輩、今日はやること思い付いたので、帰ります!」



「そ、そう?
良かっ…いや、また明日な」





コートを着て外に出る。

冷たい風が吹いているが、澄み渡る青空が綺麗で気持ち良かった。



足取り軽く、バス停に向かう。




これから役所に行って、婚姻届を貰って来よう。


本屋でブライダル情報誌も買わなくちゃ。



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