黒愛−kuroai−
買物を終え、柊也先輩の自宅へ。
彼の母親と並んでキッチンに立つ。
食材と一緒に買った、お揃いのエプロンを着る。
そうすると、仲良し嫁姑に近付いた気がした。
料理中、積極的に話しかけた。
「玉葱が目に染みて…」
「くし切りって、こんな感じですか?」
「わっ!吹きこぼれた!
柊也先輩のお母さ〜ん、助けて下さ〜い!」
頼りにされると、彼女は喜ぶ。
楽しそうに笑いながら、
「こうやるのよ」
と教えてくれた。
2人でキャッキャとはしゃぎながら、夕食を作り上げる。
完成間近のビーフシチューの鍋を掻き回している時、父親が帰って来た。
柊也先輩と似た顔の父親は、ハンサムな中年男性。
若さが消えても、爽やかを失わず、
“オッサンでも、この人となら寝てもいい”と思わせる風貌だ。
柊也先輩の未来像はこんな感じだろう。
世の中には消えて欲しい汚いオヤジがうじゃうじゃいるが、
彼は歳をとっても、そんな風に絶対ならない。
父親を見て、それを確信している。