黒愛−kuroai−
 

 ◇◇◇


数日後の昼休み。

柊也先輩が私を迎えにクラスに来た。


お弁当を手に持ち、笑顔で駆け寄る。


なぜか彼は何も持っていない。

母親手作りのお弁当も、コンビニのパンの袋も、何もない。




「柊也先輩、お昼ご飯は?
持って来るの忘れちゃいました?
だったら、私のお弁当、半分こして…」




彼は「いらない」と首を振る。

それから「話しがある」
と真面目な顔で言った。



ニッコリ微笑み頷く。



「私も話しがあります。
4月の入籍まで準備することが沢山!ちゃんと相談しないとね!」




笑顔の私と違い、彼の表情は冷めていた。

お昼をいらないと言うし、体調が悪いのかと心配した。



冷え切った二つの瞳が私を見る。

形の良い唇から零れたのは、こんな言葉。



「結婚じゃない。
付き合いについての話しがしたいんだ」



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