黒愛−kuroai−
 


紅茶に濡れた写真を一枚一枚拾い、クスクス笑っていた。




「何時間も街をうろつき、頑張って撮ったんだ…

鼻ピアスのチャラ男と鈴奈…

こっちは、酔っ払いサラリーマンと鈴奈…

これは…フフッ…カラオケBOXでヤラレちゃってる鈴奈…

あ…これ、ボツ写真だ。
由梨の顔、見えちゃってる。

ニセモノだとバレちゃうよネ」





大学生3人組に襲われている写真。

由梨の横顔が写ってしまい、ボツにした写真が紛れてしまっていた。



それを持ち、柊也先輩の前に立つ。



彼は目を見開き固まっていた。


半開きの口からは、苦しそうな息が漏れるだけ。

余りの衝撃に、言うべき言葉を失っている。



ポタリ雫の垂れる写真を彼の目の前に突き出し、

一拍置いて、勢い良く破り捨てた。



真っ二つになった写真が手を離れ、ヒラリ舞い落ちる。



紅茶に濡れた指先で、彼の下唇をなぞった。




「先輩なら…分かってくれますよネ…?

全ては、アナタを愛しているカラやったコト。

私の愛は、重くて黒い。
ちゃんと受け止めないと…壊れちゃいますよ?
……………ア・ナ・タ・ガ」




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