黒愛−kuroai−
 


青ざめ震える彼。

数秒して絞り出すように
「帰る…」と言った。



部屋のドアを開けてあげると、私に警戒しながらソロソロ廊下に出る。

それから一気に階段を駆け降り、外へ飛び出す音が聞こえた。




“話しがある”
と家に来たのに、何も話さず帰ってしまった。

今日の先輩は、オカシイネ。





一人になり、ピンクのカーテンを開けた。



壁一面に貼られた柊也先輩の写真。

その中で“合成結婚写真”が剥がれ落ちていた。

留めていたカラーピンも、床に転がっている。



写真とピンを拾い、壁に貼り直す。


写真の余白にピンを刺しながら、次に自分が取るべき行動を考えていた。




ふと、隣の写真に目が止まる。


それは学校のテニスコートの写真。

素敵な彼の背景に、マネージャー時代の中沢亜子が写り込み、腹立たしく思った写真だ。




彼女の顔や体には、カラーピンが突き刺してある。

その中の、心臓に刺した黒いカラーピンを抜き取った。




指でピンをくるくる回し、ニヤリ笑う。

それから…ピン先を、違う場所に突き立てた。




ブスリ…刺した場所は、結婚写真の彼の股間。


男性のシンボルに突き刺しても、写真の中の彼は嬉しそうに笑っていた。





イイコト思い付いた…

これでカレは、逃げられナイ……





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