黒愛−kuroai−
今度は大丈夫と思った病院だが、そこも結果は同じだった。
“妊娠”
望む言葉をくれない…
苛立ちを抱え、産婦人科を渡り歩く。
5軒目の病院は、たまたま見つけた産婦人科。
2階建ての小さな建物は薄汚れ、見るからに寂(サビ)れていた。
建物も古ければ、従業員も古い。
受付の事務の人も、看護師も、定年間近のオバサンだ。
ここも、今までの病院と同じ手順で妊娠検査が進む。
問診表に記入し、尿を取り、暫く待ってから診察室に呼ばれた。
目の前には、白衣のヨボヨボジジイ。
こいつにも「妊娠していない」と、いい加減な事を言われた。
怒りはあるが、ジジイの胸倉を掴むのは止めてあげた。
掴み掛かって死んだら、後が面倒臭い。
検査結果を間違えたのは、頭が呆けているから。
早く廃業しろと心で思い、診察室を出た。