黒愛−kuroai−
◇
翌日、上機嫌な私は久しぶりに学校へ。
と言っても、授業を受ける気は更々ない。
かなり遅刻して登校し、真っすぐ“生物化学室”に向かう。
2時間目の今、この教室を使うクラスはなかった。
無人の教室に入り、扉を閉める。
久しぶりの生物化学室には、いつもと変わらず人体模型のミツオ君がいて、
ホルマリン漬けの蛙と共に、静かに歓迎してくれた。
ポケットからスマホを出し、柊也先輩にメールする。
『とっても嬉しい報告があります!
今すぐ、生物化学室に来て下さいネ』
“とっても嬉しい報告”
その言葉に、彼は飛んで来るだろう。
濃厚なセックスした日から約一週間、
妊娠の報告を、今か今かと待ち望んでいた筈だから。
数分後、足音が聞こえ、ドアが開けられた。
走って来た彼は、少し呼吸を乱し、険しい顔で私を見る。
彼の腕を引き、中に入れ、ドアに鍵をかけた。
大好きな胸に飛び込んで、久しぶりのシトラスの香りを深く吸い込んだ。