黒愛−kuroai−
 


考え込んでいた為、気を抜いてしまった。


掴んだ髪から手を離し、視線も逸らしていた。



考えながら眺めていたのは、人体模型のミツオ君。

赤と青に色分けされた臓器を、食道から順に目で追っていた。




食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、気管支、肺、心臓…

そこまで見た時、視界が急に傾く。



肩を強く押され、仰向けに倒された。



頭を打ち付け、火花を見た。



痛みに呻き、頭を摩ろうとしたが、両手は硬い床に縫い付けられ、動かせない。




馬乗りになり、鋭く見下ろしているのは、柊也先輩だった。



何かを吹っ切った顔。

絶望と怯えの代わりに、狂気が白目を赤く染めていた。




私は驚き、目を見開く。


背筋がゾクゾクし、肌が粟立ち…………………………………………………………心が歓喜に震えた。



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