黒愛−kuroai−
 


カッターの刃を出したり引っ込めたり、遊ばせながら、聞く。




「柊也先輩、さっきの勢いはどこ行ったのですか?

私の首を絞めた時、血走った目が素敵だったのに。

やっと分かりました。
究極の愛が何かを。

もう一度、あの目を見せて下さい。
ゾクゾクしちゃう!」





鋭い獣のような目を思い出し、うっとりしていた。


ほうっ…と息を吐き出し、ミツオ君の首にカッターを滑らせる。



震えるだけで、何も言えない彼に、質問を浴びせた。




「ねぇ先輩…私を愛していますよネ?」




彼は頷く。

歯がカタカタ鳴るほど震えながら、必死に頷く。




「私と一緒に、究極の愛を見たいよネ?」




カッターの刃を、ミツオ君の目に向けた。

黒目の塗料を刃先で削りながら、そう聞いた。



彼はまた頷く。

何度も何度も頷く。

震える手から、ミツオ君の頭部がゴロリ転げた。



ミツオ君が離れて行ったので、今度は彼の首筋に刃を当てる。



耳元に口を付け、甘く囁いてあげた。




「柊也先輩、私も愛していますヨ。

だから…さっきみたいな目で、もう一度、首絞めて下さい。

私はアナタの頸動脈を切りますカラ。


“心中”って…素敵な響きですよね…

愛し合う2人が死を選ぶ。
それが究極の愛なんです。

心中して、永遠に一緒になりマショウ?」





< 250 / 276 >

この作品をシェア

pagetop