黒愛−kuroai−
カッターの刃を出したり引っ込めたり、遊ばせながら、聞く。
「柊也先輩、さっきの勢いはどこ行ったのですか?
私の首を絞めた時、血走った目が素敵だったのに。
やっと分かりました。
究極の愛が何かを。
もう一度、あの目を見せて下さい。
ゾクゾクしちゃう!」
鋭い獣のような目を思い出し、うっとりしていた。
ほうっ…と息を吐き出し、ミツオ君の首にカッターを滑らせる。
震えるだけで、何も言えない彼に、質問を浴びせた。
「ねぇ先輩…私を愛していますよネ?」
彼は頷く。
歯がカタカタ鳴るほど震えながら、必死に頷く。
「私と一緒に、究極の愛を見たいよネ?」
カッターの刃を、ミツオ君の目に向けた。
黒目の塗料を刃先で削りながら、そう聞いた。
彼はまた頷く。
何度も何度も頷く。
震える手から、ミツオ君の頭部がゴロリ転げた。
ミツオ君が離れて行ったので、今度は彼の首筋に刃を当てる。
耳元に口を付け、甘く囁いてあげた。
「柊也先輩、私も愛していますヨ。
だから…さっきみたいな目で、もう一度、首絞めて下さい。
私はアナタの頸動脈を切りますカラ。
“心中”って…素敵な響きですよね…
愛し合う2人が死を選ぶ。
それが究極の愛なんです。
心中して、永遠に一緒になりマショウ?」