黒愛−kuroai−
「フフッ どうしたんですか?
今日の先輩は、随分積極的ですね」
「ああ。愛美を愛しているからな」
甘い言葉を吐き、彼は笑った。
口元は弧を描き、笑みを形作るが、目は笑っていない。
獲物を見付けた獣のように、鋭く光る双眼。
真剣に慎重に、牙を突き立てる瞬間を狙っているみたい。
胸がドキドキ高鳴った。
ああ…嬉しいな…
究極の愛は、すぐそこに…
興奮して、体の奥が疼いちゃウ…
2人分の切符は、彼が既に用意していた。
駅の改札を通る。
どこに向かうのか聞いても、
「まだ秘密、楽しみにしていて」
そう言うだけで、教えてくれない。
いつもは乗らない路線の電車に乗り、見知らぬ場所へ走り出す。
朝のラッシュを過ぎ、車内は空いていた。
シートに並んで座り、心地好い揺れを楽しむ。