黒愛−kuroai−
 


楽しい会話の最中に、前方からトラックが走って来た。



荷台に砕石を積んだ、大きなトラック。

あれに轢かれたら、グチャグチャな肉塊になるだろうネ。




想像しながら、後ろの彼と会話を続けた。




「柊也先輩、お母さんと最後に、どんな会話しましたか?」




今まで返事があったのに、急に答えが途切れた。



勢いよく振り向くと、彼は驚き、足を止める。



その両手は、なぜか胸の前。

力一杯、何かを押し出そうとする姿勢で、開いた両手を胸の前に構えていた。




大型トラックが振動と騒音を響かせ、私達のギリギリ横を通り過ぎた。



それを見送り、ニッコリ笑って、彼に聞く。




「セ・ン・パ・イ

2人は手を繋ぎ、崖から飛び下りる。

そう決めましたよネ?」




「あ…ああ、もちろんだよ。
さあ、行こう」





今度は彼が前を歩く。

歩きながら、首を左右に振り、何かを探しているみたい。




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