逢いたい~桜に還る想い~
「“柊子”、落ち着いて………
───“香子ねえちゃんの赤ちゃん”は、無事よ。
今は、飛行機の中………」
落ち着いた声とは裏腹に、手を強く握られ………
はっ……と我に返ったあたしは───辺りを見回して、思わず安堵の息をこぼし、
額にじっとりとかいた嫌な汗を拭った。
そうだ、あれはもう前世(カコ)のこと…………
そう無理やり気持ちを落ち着かせながらも、まだ胸の動悸と嫌悪感は消えなかった。
「……苦しい?」
「まだ……少し……」
瑤子ちゃんは、CAさんから飲み物を受け取り、手渡してくれた。
……もう一つ還ってきた、罪の記憶────
前向きに進みたいって思うのに、
………“郁生くん”のことを好きでいたい、それだけなのに、
どこまでも、あたしを阻む…………
「……ありがと、瑤子ちゃん……」
「……隣にいるから」
「うん………」
あたしは、ゆっくりと目を閉じて、シートにもたれ掛かった。
───今は国際線の飛行機の中。………亡くなった姉の葬儀に向かうために。