脱・不幸恋愛体質
「冷たいっ…」
氷が入った水は一気に冷え、私の手に痛みを与えていく。
「我慢しろ。跡になりたくないだろ?」
水から出そうとする手を掴み、半強制的に水の中に戻した。
私の抵抗も虚しく完全に捕らえられた右手は、ゴツゴツした蓮の手で押さえつけられている。
キュッと蛇口を閉めると、再び無言になった蓮。
さっきまでは、水が流れる音がBGMになっていたのに、今は完全な無音。
かなり気まずい。
なんで、嫌いな私を手当てしているのか理解不能だったし……
「ねぇ、蓮。何で手当てしてるの?」
感覚がなっていく右手を見ながら、蓮に疑問をぶつけてみた。
「何でって……普通、怪我人をほっとけないだろう?」
「でも、私の事嫌いでしょ?」
そう言った私に、一瞬びっくりした顔をすると、『はぁ~』と一つ溜め息を漏らし呆れ顔で見ていた。
「今まで怒ってきたのは、全部仕事だからだよ」
「……」
「だから、……別に嫌いとかじゃない」
初めて、蓮とまともに話した。
仕事に厳しいのは別として、意外と普通の男の子なのかもしれない。
少しだけ蓮の心の中が知れて、少しだけ蓮が嫌いじゃなくなった気がする。
「そっか、ありがとう。私、頑張るね」
そう笑顔を蓮に向けた。
「あの…お前…――」
蓮が何か言おうとした瞬間――