彼女の恋~小指の赤い糸~
告白


アパートの前に駐車しても中島さんは降りなかった。


「中島さん?」


課長の車が止まっていたとは気が付かなかった。


「コソコソしたくない。
覚悟して降りて」


ちょうどいい。
二人で現れたら課長はどんな顔をするかな……。



だけど。


「無理です。
嘘なんです。
ごめんなさい。
全然平気なんかじゃない……」



彼女は真っ青な顔でぶるぶる震えていた。


怯えてる……?


彼女を降ろすのは止めて自分のマンションに連れて行った。


今日の事がバレそうだから震えてる?
それにしては怯えすぎじゃないか。


「黙っていればやり過ごせると思ってるの?
はっきり言わせて貰うよ。

巻き込んだ時点で中島さんは俺に話す義務があるんだよ。
例え中島さんが話したくなくてもね」



怯えてる訳ぐらい話してくれてもいいんじゃないか。



< 164 / 235 >

この作品をシェア

pagetop