彼女の恋~小指の赤い糸~
告白
アパートの前に駐車しても中島さんは降りなかった。
「中島さん?」
課長の車が止まっていたとは気が付かなかった。
「コソコソしたくない。
覚悟して降りて」
ちょうどいい。
二人で現れたら課長はどんな顔をするかな……。
だけど。
「無理です。
嘘なんです。
ごめんなさい。
全然平気なんかじゃない……」
彼女は真っ青な顔でぶるぶる震えていた。
怯えてる……?
彼女を降ろすのは止めて自分のマンションに連れて行った。
今日の事がバレそうだから震えてる?
それにしては怯えすぎじゃないか。
「黙っていればやり過ごせると思ってるの?
はっきり言わせて貰うよ。
巻き込んだ時点で中島さんは俺に話す義務があるんだよ。
例え中島さんが話したくなくてもね」
怯えてる訳ぐらい話してくれてもいいんじゃないか。