彼女の恋~小指の赤い糸~
「返事は?」
「……はい」
「分かったならいい」
そう言ってギュッと抱きしめてきた。
「紗季は独りじゃない。
俺がいつも近くにいるって事を忘れるな」
この人の腕の中は何で、こんなに安心できるの?
あの頃は分からなかった。
主任の腕の中が、こんなに落ち着ける場所だなんて。
今まで周りの人達につい自分の気持ちを押し通そうと意地になってしまった事も度々で……。
特に男の人から、この気の強さが原因で疲れると敬遠された事も何度かあった。
考えてみたら、いろいろあったのに主任は、いつも近くにいた気がする。
離れていった時もあったけど結局は戻って来てくれた。