彼女の恋~小指の赤い糸~
「そろそろ行かないと」
「直ぐに仕度します」
これから課長と会う。
不安な想いを抱えながら車の助手席に乗ってシートベルトをする。
車のエンジンが掛かった。
視線を感じて顔を上げると、じっと見ている主任と目が合った。
「主任?」
「課長がすんなり別れを承知してくれるとは思えないけど。
これだけは信じててほしい。
俺は何があっても紗季の手は放さない」
「主任……」
身を乗り出した主任から唇に軽く口づけを受けると不思議と不安な想いが消えていった。
車はマンションに向かって動き出した。