彼女の恋~小指の赤い糸~
タクシーが止まり、降りて披露宴会場のある階に着き受付を済ませると主任が私の手を引いた。
驚いたものの直ぐに足を踏ん張ってそれ以上前に進まないようにした。
「ほらっ、行くぞ」
「嫌です」
何で主任と……。
一緒に中に入るなんて冗談じゃない。
同じ課の人に変に勘ぐられたくないよ。ここまで来るのにも、何か言われたらって周りを気にしながら来たんだから。
もういいかげんに解放してほしい。
「どうぞ、先に行ってください」
「ここまで来て逃げるつもりじゃないだろうな?」
「逃げませんよ」
あの時の事をちゃんと謝りたかったし、二人に「おめでとう」って言えたら、きっと自分の想いにもけじめをつけられる……。
決心して今日は来たんだから。