恋するほど   熱くなる
僕は駅の改札口の向こうに釣り下がっているデカイ時計を見た。

時計の向こうにはホームへの階段が上りと下りで左右に分かれていた。

下りの電車が着いたのだろう。

バラバラと人がたくさん降りて来た。

黒っぽいコートやジャケットが多い中で

グレーのロングコートを着た若い女が足早にこちらへ歩いて来た。

色が抜けたこげ茶っぽい天然パーマの髪をふあふあさせて改札を出て来た。

「ふん、まあまあだな。ダメもとで声をかけてみるか。」

彼女はスタスタと僕の前を通り過ぎるところだった。

「ちょっと、君、今いい?」

「えっ?」

僕は名刺を見せた。

といきなり目の前でぶっ倒れた。

「おい、君、大丈夫か?」

僕は小柄な彼女を抱き上げて駅員に事情を話した。

駅員は駅員室へ入るように言ってくれたので助かった。

「ふぅ、顔色が悪りぃな。」

僕は彼女をソファに寝かせて見守った。

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